楽屋の顔2012年09月17日

 あちこちで書いた話ですが、私は図書館で本を見るのが好きです。
 書店の本というのは強烈なリアルタイム性によって選別されており、それはそれで生命力あふれる素晴らしい光景なのですが、どうも苦手です。少なくとも今の私は、地層のように積み重ねられた、あるいは樹齢の高い樹木が立ち並ぶ林のように本が並んだ光景の方がくつろげるのです。

 図書館の一番のいいところは、書店では追いにくくなってしまった微妙に過去の本に再会できるという点です。流行の激しい分野の棚を見ていると、それだけで、時の流れが今手に取れる織物になって掛けられているような気分を味わえます。
 私は図書館で料理レシピの本を見るのが好きです。料理の本というのは、感覚に深く根ざす分野なので、本の装丁や写真の雰囲気もはっきりと変わっていきます。それは新刊のように、わかりやすく刺激的に気持ちをかきたててはくれないのですが、それだけに今の自分にはっきり呼応する部分がよく掴めるのです。現代の小説を読むよりも古典作品を読んだ時の方が、自分の中に普遍的な心性が見える、あの感覚でしょうか。

 さらには、最近は料理の本の流行がはっきりしているので、ちょっと過ぎて流行が落ち着いたジャンルの本が、気楽な顔で迎えてくれるのも楽しい。
 書店で見かける料理の本は塩麹やスムージーが多いですが、今は平積みされなくなったショウガ関係の本などは、図書館に行くとほどよく力が抜けた表情をして並んでいます。

 そんな訳で、今日ものんびりと図書館に行き、本を借りて返ってきました。明日はしょうがのシロップでも作ろうかと思います。

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