知識欲2007年05月20日

私が「活字離れを防ごう!子供にもっと本を読ませよう!」という言説にさっぱり賛同できず、冷ややかな視線を注ぐ理由は色々ある。その理由のひとつをここで書くことを許してもらえるのなら、それは、本が好きということ、本をたくさん読むということは、優れた人間性とは何一つ関係がない、ということだ。
本をたくさん読む人も、あるいはあまり読まない人も、「読書をするのは優れた人間性を育てる」と巨大な勘違いをしているらしいが、読書と人間性は何一つ関係ない。
いや、関係はあるかも知れないが、同程度の関係はスポーツでも裁縫でも散歩でも絵画でも音楽でも電話でもチェスでも、この世にあるありとあらゆるものが持っている。読書好きが飛び抜けて人間性が善良な訳でも、賢い訳でもない。むしろ、そう思いこんでいる分、始末に負えないことすらある。
はっきり言えば「本を読みたい」というのは食欲や性欲と同じ、なまなましい赤裸々な欲望であって、それ以上でもそれ以下でもない。今まで知らなかったことを知る瞬間は、オルガスムスと同じく純粋な快感だ。
本をたくさん読むというのは、大袈裟に言えばたくさんセックスするのと同じようなものであって、まあ悪いことでもあるまいが、他人様に推奨するのも余計なお節介だと思う。ましてやそこに愛がないのであれば、義務感で行うセックスと同じ代物……なのかも知れない。