死が我らを別つとも2010年04月14日

 目が覚めても、ごはんを出せという鳴き声もなく、水入れの水を取り換えようとしても指を齧られることもなく、食べ物を外に出していてもくちばしを突っ込まれることもない、朝。

 70gに満たない小さなふくふくしたあの存在が、わが家のすみずみまで、温かい空気を満たしていたことが、今さらながらに実感されます。
 部屋の中は静かで、温度が低くて、ため息が降り積もります。

 思考は今も同じようなところを行きつ戻りつ。
 後悔と、追憶と。

 小鳥として、年に不足はない高齢ではあったけれど。
 それでも、ね、やっぱり。
 私たちは、もう少し、君と一緒に暮らしていたかったよ。
 叶うものならば、ずっと。

 君はいま、飛ぶことのなかった大空を羽ばたき、大好きだったのに食べちゃだめと怒られていたチョコレートなどつつき、天界のいちごや柿をついばみながら、私たちが来るのを待っているのだろうか。
 もしも私たちが、彼岸に行く時が来たら、その時は君がお迎えに来てくれることを、祈り願い、信じているよ。そうしたら、君のあの美しい黒灰色と茶色の羽根と、ぼさぼさの頭と、鋭くもつぶらな瞳に、また出会うことができるだろう。

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