最低限2005年08月24日

駒大苫小牧高校の暴力事件について、知り合いがBlogで「あれくらいのことは体罰なんかじゃないと思う、今の親は子供を甘やかしすぎではないか」というようなことを書いていて、何とも複雑な気分になった。
その後、色々と「最近の親はおかしい」「すぐ『ウチの子の人権が』とか言い出す」といった話がコメントで続いていく。
それを読んでいて、今の世の中では子育ては大変だと感じてしまった。小姑が家の中にも外にもうじゃうじゃいるような環境ではないか。
実際には、子供を産み育てるということには、まさに言葉では言い尽くせない喜びと恵みがある祝福された営みだとは思うのだけど。

最近の親はおかしい、異常だ、わがままだ、といった話はよく聞く。たぶん、それも一面の真実なんだろうとも思う。
でも恐らく、おかしくて異常でわがままで人間失格の親は、昔もたくさんいた。昔と今とで、その比率が著しく変わっているような気は、何故かしない。変わったとすれば、その異常な部分がどこに突出していたかという違いだと思う。

社会が豊かになっていったせいなのか、今の日本では、「良識ある社会人」として生きていくハードルは、かなり高い気がする。
そこそこ高水準の言語能力や、政治家の言うことを鵜呑みにしない程度の思考力と知能だけでも、なかなか大変な条件だと思うけれど、それに加えてかなりの額の年収を稼ぐこと(できれば定期的な収入で)が加わり、しかも他人に迷惑は決してかけてはいけない。
相性が悪い先生がいようが陰湿ないじめっ子がいようが学校にはきちんと通っていたという過去がなければならないらしいし、ひきこもりやニートやフリーターと名付けられる状態には断じてなってもらっては困る。
これは実は、考えられているほど容易いラインではないんじゃないだろうか。

こういう、「良識ある社会人を生産すること」を求められる「親」という立場は、かなりしんどいと思う。それを上回るほどの心の潤いがあるからこそ続いている営みだ。
もし本当に、「今の親が異常で歪んでいる」のなら、そこにはやはり理由があるだろう。そして、私が仮に人の親になったとして、しかも「歪んでしまう」としたら(その可能性は自他が思うほど低くはないと思うけれど)要因のいくばくかは、その辺りに——本能がもたらす心の潤いがカバーできなくなるほどの、無言の圧力にあるような気がしてならない。

親なんてね、別におかしくたって異常だって、子供は何とか育つもんだよ。大丈夫大丈夫。
そんな感じの気楽さが、子育てを取り巻く空気にはない。子供を産み育てることは大事業、しかも失敗が許されず、仮に失敗したとしたら取り返しがつかず、ありとあらゆる非難の対象になる責任重大の行為らしいのだ。
これは中世ヨーロッパの修道院入り並みの覚悟をせまる話じゃないだろうか。

まぁ、だから私は子供を産むという選択をしていない、という訳でもない、と思いたいけれど。

コメント

_ Ratin ― 2005年08月24日 23時16分32秒

今回の件についてはニュースで耳にした程度で詳しいことは知らないです。
それでも親が騒ぐことでまず間違いなく子供は学校で居づらい思いを
しているのは容易く想像できますね…。

昔もたしかにある種の異常な親は存在したとは思いますが、私の周りでは
異常というより「ろくでもない親」が結構いましたね(笑)。
ろくでもない親を持つ子は「ああはなるまい」と反面教師として親を見る事も
できるのでしょうが、過保護の親を持つ子はどうなるのでしょうね。
実際のところスリッパで叩かれたなんてどうでもいいことを親が
知っているのも不思議だし…。
どちらかと言えばこのくらいの年齢であればむしろ親との距離感が
あって当然とすら思えます。
わざわざそんなつまらないことまで逐一報告するのかなぁ、と。
まぁ、仲がいいに越したことはありませんけど(笑)。

部員たちも優勝気分台無しだろうなぁ。

野球部長さんがどういう位置づけのひとなのかは知らないですが叱り方を
知らないんでしょうねぇ。
野球部長さんと同い年なんですが自分と同じ年齢で精神的に成熟したひと
なんて見たことありませんから(笑)。
当然、私はバリバリの未成熟のちゃらんぽらんヽ(´ー`)ノ~☆

_ さとみん ― 2005年08月25日 10時31分25秒

駒大苫小牧の件については、単なる前フリというか話のきっかけだったのだけど、これについては、情報が少なすぎて何とも言えませんね。
関係者間の信頼関係がどこかで大きく崩れていることは想像できるけど、それがどこなのかまでは、全くわからないし。経過も不明だし。
後味の悪い話であることは確かですけどね。

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