今日のさとみん

今の住まいの近くには小さいながらも川が流れている。護岸工事をされてはいるけれど、川には草も生えていて、土も残っていて、傍にはヒヨドリが群れ騒ぐ樹（わが家の通称では「ヒヨのなる木」）もあって、カルガモをはじめとする水鳥も泳いでいる。
河原によくいるハクセキレイも常連さんで、ぴぴぴぴ、と甲高い美声を放ちながら、長い尾羽をひらひら上下させて優雅に飛んでいく。
そんな中で、一羽、よく見かける違うセキレイがいる。
つややかなレモンイエローの体に黒い筋、たぶんキセキレイだ。本来セキレイは川の上流・中流・下流で住むエリアが異なっていて、ここは明らかにハクセキレイエリアなのだけど、まあ迷い鳥なのか変わり者なのか。
仲間もいない川で、彼（彼女？）はひらひらと飛びながら、川沿いに建つ家やマンションの窓ガラスに、さかんにアタックする。
激突するというほどの勢いではなくて、軽くキックするような調子である。見ていると何度も何度も繰り返す。
窓ガラスに映っている姿を仲間と勘違いしているのか、敵と思っているのか、それとも単に遊んでいるだけなのか。
一番最後のイメージが当たっていればいいと思う。仲間だと思っていて、一生懸命飛んでいこうとしているのだとしたら、切ないから。
レモンイエローの美しい小さな体は、ひとしきりガラスの前で舞った後、どこかへ飛んでいく。お金を出して見るものだとしたら、たくさんの人が千金を積むであろう美しい光景だけれど、自然は贅沢に大盤振る舞いするために、道行く人は誰も気付かずに通り過ぎる。